失業保険コラムColumn
2026.08.20
60代前半・定年後の失業保険はいくら?受給条件と手続きの流れ
「定年で退職したけれど、失業保険はもらえるのだろうか」——60代前半で定年や再雇用の終了を迎えた方から、こうした声をよくうかがいます。年金との関係もあり、若い頃の転職とは勝手が違って戸惑う方も少なくありません。
60歳以上でも、雇用保険に加入して働いていた方であれば、65歳になる前の退職なら「基本手当(失業保険)」の対象になることがあります。ただし年齢によって基本手当日額の上限が異なり、特別支給の老齢厚生年金とは同時に受け取れないという点にも注意が必要です。
この記事では、60代前半で定年退職した方に向けて、受給の条件と金額の目安、年金との関係、65歳前後で変わる給付の違い、手続きの流れまでを順に解説します。
自分は受給の対象になるのか、確かめておきたい方へ
60代前半は、退職理由や年金の受け取り状況によって受給できる金額の目安が変わります。いくらもらえるかLINEで無料診断できます。
目次
結論:65歳になる前の定年退職なら、基本手当を受け取れることがあります
60歳から64歳までの間に定年や再雇用契約の満了で退職した場合、原則として離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あれば、受給資格を得られることがあります。定年退職は自己都合とは扱いが異なり、給付制限なく支給が始まるケースが一般的です。一方で、年金を受け取り始めている方や65歳を過ぎてからの退職では扱いが変わるため、まずは状況の整理から始めましょう。
📌 まず確認したいポイント
60代前半の失業保険はいくら?基本手当日額と給付日数の目安
失業保険の金額は、退職前6か月の賃金から計算した「賃金日額」をもとに決まり、おおむねその5割から8割程度が基本手当日額の目安とされています。
60〜64歳は基本手当日額の上限が異なります
60歳以上65歳未満は、他の年代と給付率や上限額の設定が異なる区分です。上限額は毎年8月に見直されるため、最新の金額はハローワークや公的資料でご確認ください。
📊 年齢区分別・基本手当の扱い(目安)
| 年齢区分 | 給付の扱い |
|---|---|
| 59歳以下 | 年齢区分ごとに上限額が決められています |
| 60〜64歳 | 給付率と上限額が別区分で、上限は低めの設定です |
| 65歳以上 | 基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象です |
※上限額は毎年8月に改定されます。金額は目安で、賃金や加入期間により変わります。
定年退職は給付日数と給付制限の扱いが変わります
定年による退職は、自己都合のような給付制限の対象にはならないとされ、手続き後の待期期間を経て支給が始まることが多いです。給付日数は雇用保険の加入年数に応じて決まり、長く加入していた方ほど長くなる傾向があります。
年金と失業保険は同時に受け取れないことがあります
60代前半の方が特に注意したいのが、特別支給の老齢厚生年金との関係です。ハローワークで求職の申込みを行うと、その翌月から基本手当の受給が終わるまでの間、年金は原則として支給が止まる扱いになります。両方をあわせて受け取ることはできないため、どちらが手取りとして有利かを金額の目安で比べておくと判断しやすくなります。どちらを選んでも後から取り消せない場面もあるため、事前の試算が欠かせません。
⚠️ 注意:年金の支給停止は求職の申込みをした翌月から始まります。手続きの順番によっては、一時的にどちらも受け取れない期間が生じることがあるため、離職票が届いたら早めに流れを確認しておくと安心です。
📌 どちらを選ぶか比べるときの視点
65歳の前後で変わる|高年齢求職者給付金との違い
退職日の年齢が65歳以上になると、受け取れるのは基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」に変わります。日数分を分割して受け取る基本手当とは異なり、一定日数分が一時金としてまとめて支給される仕組みです。受け取れる日数の目安は基本手当より短く、退職日が65歳の誕生日をまたぐかで総額に差が出ることがあります。
📊 基本手当と高年齢求職者給付金の違い(目安)
| 項目 | 基本手当(65歳未満) | 高年齢求職者給付金(65歳以上) |
|---|---|---|
| 受け取り方 | 認定日ごとに分割 | 一時金でまとめて |
| 給付の目安 | 加入期間に応じた日数分 | 30日分または50日分 |
| 年金との関係 | 特別支給の年金は停止 | 老齢年金と併給できるとされます |
※日数や条件は加入期間・離職理由により異なります。あくまで目安です。
⚠️ 重要:65歳の誕生日の前日に「65歳に達した」と扱われるため、誕生日の直前と直後では給付の種類が変わることがあります。退職日を選べる場合は、離職日の設定を慎重に確認しておくと安心です。
定年後の手続きの流れと、再就職手当という選択肢
手続きは住所地を管轄するハローワークで行います。会社から離職票が届くのを待ち、受け取ったら早めに窓口へ出向くのが基本です。届かない場合は、会社の担当部署に発行状況を問い合わせてみてください。
📋 受給までの基本的な流れ
会社から離職票1・2を受け取る(退職後10日前後で届くことが多いです)
本人確認書類・写真・通帳を持ち、ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定を受ける
指定された雇用保険説明会に参加し、失業認定日の案内を受ける
原則4週間ごとの失業認定日に求職活動を報告し、その後に振り込まれます
定年後もすぐに働く予定がある方は、基本手当を最後まで受け取るより、早期に就職して「再就職手当」を受けるほうが有利になることがあります。所定給付日数が3分の1以上残っているなどの条件があり、該当するかはハローワークでの個別確認が必要です。就職が決まったら、採用証明書を用意して早めに窓口へ申し出ておくと安心です。
よくある質問
Q. 定年退職でも失業保険はもらえますか?
A. 65歳になる前の退職で、雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば受給できることがあります。定年は自己都合とは扱いが異なり、給付制限なく支給が始まるケースが一般的です。
Q. 年金を受け取りながら失業保険ももらえますか?
A. 特別支給の老齢厚生年金は求職の申込みをした翌月から止まる扱いのため、同時に受け取ることは原則できません。どちらの総額が大きいかを比べてから手続きするのがおすすめです。
Q. 再雇用の契約期間が終わった場合も対象ですか?
A. 契約期間の満了による退職も、雇用保険に加入していれば対象になることがあります。離職票の離職理由の記載で扱いが変わるため、内容を必ず確認してください。
Q. 手続きが遅れるとどうなりますか?
A. 受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を過ぎた分は受け取れなくなることがあるため、離職票が届いたら早めに進めるのが安心です。
まとめ:60代前半の失業保険で押さえるべき3つのポイント
60代前半の受給は、年齢と年金の扱いが分かれ目になります。最後に、手続きを進めるうえで押さえておきたい要点を整理します。
65歳前の退職なら基本手当の対象:加入期間12か月以上などの条件を、離職票で確認しましょう。
年金とは同時に受け取れません:求職申込みの翌月から止まるため、総額の目安で比較を。
手続きは早めに、再就職手当も視野に:離職票が届いたら住所地のハローワークへ。早期に就職する場合は再就職手当も検討できます。
この記事の監修Carrer Beauty 編集チーム
失業保険・退職給付・公的制度をテーマにした解説コンテンツを制作。FP有資格者のチェックを受けながら、実際の手続き現場で使われている資料や公的サイトを参照し、読者が「自分で手続きできる」レベルまで落とし込むことを目指しています。